眼底画像解析システム

眼底検査

 眼底検査では,瞳孔を通じて眼球内の網膜,視神経乳頭などを検査する. 緑内障や眼底出血,黄斑変性症などの眼の疾患が見つかることがあるが,それ以外に動脈硬化,高血圧による全身的疾患からの眼底の血管変化が発見されることもある. そのため,眼底検査は内科においても重要である.

眼底画像のためのコンピュータ支援診断システム

 眼底写真は非常に多様な情報を含み,従来から目視による読影が行われていた.しかし,その読影は非常に負担のかかる作業であった. 医師の負担から生じる様々な問題解決のために,画像解析技術を用いたコンピュータ支援診断システムの実現を目指す.

眼底画像からの血管抽出

 まず,網膜診断を行うためには,網膜の血管領域を正確に抽出しなければならない. 抽出された血管領域を用いて,各種の指標により診断を行う. 今回,血管領域を高精度に抽出する方法を開発し,提案手法が従来手法より精度の高いことを確認した. 結果を左図に示す.

 TPR とは True Positive Rate のことで,血管領域を正確に血管領域と判断した比率であり, FPR とは False Positive Rate のことで,血管領域でない部分を血管領域と判断した比率である, TPR は大きいほど良く,FPR は小さいほど良い.以上のことを勘案すると,提案手法が総合的に優れているのがわかる.

Scheie分類による動脈硬化性疾患の自動分類

 網膜異常度(Scheie 分類)を用いた動脈硬化性疾患の自動判定の可能性が示された. 具体的には,Scheie 分類における異常症状の9項目(右図参照)を医者の診断所見から数値に換算し, これら9次元の数値を入力とし,出力として動脈硬化の有無を数値で表す学習型の自動識別器を作成した. 精度はまだまだ不十分であるが,今後十分改善の可能性はある.

関連プロジェクト

  • 日本学術振興会科学研究費 挑戦的萌芽研究
    平成24年度〜平成26年度 「脳血管障害早期発見のための眼底画像解析システム」
  • 財団法人ちゅうごく産業創造センター 平成22年度産学官連携新産業創出研究会
    平成22年度 「ブレインコンピューティングに基づく学習型眼底画像解析ソフトウェア, 及び眼底画像検査システムの開発」